お手元に届いた型紙の使い方

正しい裁断方法

● 縫い代は多目に付けて裁断しましょう

最近市販されている型紙に縫い代を付けたものが多い様ですね。
しかし、使用する際に問題になる事例をしばしば目にします。

「サイズが合わなかった」 「丈が短かった」・・・など、製作途中の確認作業をしないまま仕上げて失敗するなどが聞かれます。

市販のパターンは、個々のサイズで製図したものではありません。
異なる体型、異なる身長の人が同じ型紙を使って、皆がぴったり、、、と思い通りにはいかない物です。

型紙に縫い代が付いているが為に、裁断ではその縫い代線でカットしてしまい、「サイズが合わず、直したいのに直せない」などの問題が起きます。

<大事なこと> 裁断は、充分な縫い代を付けて裁断しましょう。

多目の縫い代を付けておけば、身幅を広くすることも 丈を伸ばすこともできます。
作成過程で着用し、鏡に映して、「身幅がきつい」と思われたら脇線を外に広げて修正する、「丈が短いな」という時には、裾線を下げて修正する・・・など慎重に作成すれば失敗はありません。

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● なぜ、縫い代付きの型紙が市販されるようになったのでしょうか

本来、家庭洋裁では、縫い代をつけない方法が正しい型紙作成方法です。
ところが、ある時期から 縫い代付きの型紙が市販されるようになったことから、他社も追随したものと思われます。 

縫い代付きの型紙は、既製服の製作工程で使用する工業用の型紙(パターン)です。
縫製工場で使用する量産用型紙です。
裁断機で布をカットする際に、縫い代線が必要なのです。

しかし、それと同じ方法で、一般が縫い代線通りにカットしたら、、、
想像できますね。 身幅が足りなかった、丈が短かった、、、という失敗につながることがあるのです。

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● 型紙はでき上がり線でカットし、多目の縫い代を付けて裁断し、仕上がり線に印を付けましょう

右は、前身頃の型紙をでき上がり線でカットし、布に固定し、裁断をしている画像です。

最終的には、脇や肩は1.5cm、アームホールや首周りは1cmと、カットして仕上げますが、
「アームホールを修正するかも知れない」「身幅が足りないかも知れない」「丈が短いかも知れない」「首周りが空き過ぎるのは心配」・・・と心配な箇所には多目の縫い代を付けて裁断します。

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裁断後の作業は「印付け」です。
印の付け方も色々な方法がありますが、型紙をでき上がり線でカットしていますので、下図の様に複写式のペーパーを使う方法、切りじつけをする方法など、型紙のアウトライン(仕上がり線)をなぞるように印を付けていきます。

その後の縫製では、できれば一度仮縫い(仮の組み立て)をしましょう。 着用して修正箇所をチェックします。 身幅を広げたい、丈を伸ばしたい、、、などのチェックをします。 その後、修正線を本縫いするのです。

この方法が失敗の無い服作りです。

 裁断、印付け、他 基本的な方法を、動画を交えて分かり易く解説したコーナー(ソーイング magazine)を、パタピッ ユーザー対象に無料公開しています。 一部は、一般にも無料で公開しています。  してご覧ください。

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● 既製服も試作を終えた最終段階で製図に縫い代を付けます

既製服は、縫い代付きの型紙を作成する段階で、上で説明した「確認作業」は終了しています。つまり、この段階で修正作業が終わっていますので、縫い代をつけた工業用パターンを縫製工場に送り量産工程に入ります。

既製服こそこの段階に至るまでに、慎重に試作を繰り返しています。
最初のパターンで試作をし、人に着用してもらったりボディーに着せて、でき上がりをチェックします。
着心地が悪い部分、シルエットを崩す部分、丈が足りない部分などをチェックし、再度試作し確認します。
何度も試作を繰り返し、最終段階で決定した製図に縫い代を付けて工場に送り、初めて本番の製作に入る訳です。

現在はその型紙が一般のパターン販売に並ぶ様になったため、「型紙は縫い代付きでなければいけない」と間違った認識をされています。

そうです、買ったパターンが自分にぴったりではないのです。 修正があることを想定して裁断→縫製をする必要があります。

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● 家庭洋裁では、失敗の危険を避けて 常に多目の縫い代を付けましょう

製作工程の確認作業が大切なことをお分かりいただけましたか。

こちらでは、写真やイラストで型紙をご注文いただいた場合、必要なゆとりを加えて製図を作成しますが、個人個人の好みの違いがあり「ゆとり」の決定は大変難しいものです。
若い方で「ピタッとフィットした服を着たい」方と、ご年配で「ゆったりした服が好き」という方では、ゆとり寸法は大きく異なります。

ご注文の際に、「ゆったりサイズが好き」、或いは「ぴったりが好き」などの指示をしていただきますと、製図はより正確になります。

また、扱う素材(服地)によっても 着心地は大きく異なります。
伸びる素材を使用するのか、伸びない生地で作るのかでは、特にスリムなデザインでは、伸びない生地で作ると窮屈で着れない服になってしまうこともあります。
また、伸び率によっても着心地は異なります。 同じ型紙を使用しても、「この生地は丁度良いのに、こちらの生地は大きく感じる」など違いがあります。 生地による着心地の違いは微妙です。

どちらにしても、多目の縫い代を付けて作成すれば、きつい場合でも補正ができますので安心です。

以上の説明で、縫い代付き型紙についての認識がちょっと変わったのではないでしょうか。

ソーイングに関することで、まだまだ「あれっ?」と疑問に思うことは沢山あります。
正しい知識を知っていただく為に公開しています「ソーイング magazine  」を、是非ご利用いただければと思います。